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【おうち美術館】番外編:ヒマラヤで描く画伯を当時サポートした山岳愛好家さま&サブリナ幸子さんが対談!過酷な山で魂の作品を描き続けた 故・浅生田光司画伯の蔵出し絵画を無償でお届けするボランティアプロジェクト『ミモザの会』公開録画トークショーの様子をご紹介
~ おうち美術館 produced by【SWAN画廊】~
山岳画家として有名な浅生田 光司(あさおだ みつじ)画伯(1925-2018 元横浜美術協会会長)の絵画は、瑞々しく愛に溢れ人々の心をいまも癒し続けています。
画伯の「油絵を現場(山)で描く」という信念のもと、海外で登山しながら創作...という命がけの過酷な活動を、力強くサポートしてくださった素敵な山岳愛好家さまたちをお招きし、3月5日(日)に『ミモザの会』を開催しました。
◆雰囲気が伝わる【対談動画(YouTube)】もご覧いただければ幸いです。
ボランティアプロジェクト『ミモザの会』について
「おうち美術館」連載が大人気!
ミモザ色の素敵なお洋服がお似合いの
浅生田画伯夫人 サブリナ幸子さんは
芸術一家を支える太陽のような存在です。
◆ミモザの作品についてご自宅でインタビューした【おうち美術館】の動画はこちら
大きな絵画を、無償で病院や施設等に
お届けするプロジェクト『ミモザの会』。
画伯は山岳画家として有名ですが、実は
お花の作品も定評があり、ミモザは画伯
も大好きだったとのこと。
筆者が生命力溢れる美しいミモザ作品に
感動した事もあり、会の名前に選びました。
画伯夫人サブリナ幸子さんと久しぶりにその時のことを語りあい、懐かしく楽しいひとときを過ごされました。「数十年ぶりに大切な山の仲間の皆さんとお逢い出来て、とても嬉しい!」と、幸子さんは大感激。私達も貴重なお話を聞けて感動でした。
プロローグ:山の「現場で描く」という信念
20代から山を描き続け、日本国内の山
をほとんど描きつくしたことから
ヨーロッパへ行きアルプスを描いたり
アラスカやカナダへも行かれたそう。
50代に入っても、必ず山の現場に
キャンバスを持っていき、まさに
命がけで創作に励みました。
身体が硬直する。
ポーターはイーゼルを抱えて抑えて
風から守る。
ポーターの指5本で合図、
5本の指はあと(5分)だよ~
という意味。
お互いに5分で描かなければならない
時間を大切にしている。」
(当時の画伯のメモより)
1981年から82年にかけ5か月程滞在した
ネパール・ヒマラヤで描いた作品一部を
「雪塊」と題し、発表したその個展は
各方面に大きな反響をよびました。
写真を見て描くのではなく、その場で
自然や空気を感じながら真摯に向き合う
ことで、魂の画家と称される素晴らしい
作品が次々に誕生したのかもしれません。
その時の頼もしいメンバーが、今回お招きした今井さん・杉田さん・清岡さんです。
【おうち美術館】番外編:『ミモザの会』公開録画トークショー(抜粋)
イーゼルを飛ばされないようポーター
に抑えてもらいながら描いたそう。
絵の具は凍ってシャーベット状になり
指先が軽い凍傷にかかるほど。
幸子さん:皆様とのご縁は「山と仲間」
という雑誌の表紙を、先生(浅生田画伯)
が描いていて、編集長からの紹介です。
この方たちがいなかったら多分描けてない
と思うんですよね。感謝です。
だったなぁと思うことあったでしょう?
皆様:いや、先生男らしい方だったから
良かったですよ。一緒に飲めたりね。
大体いつも先生、テントの中で喋って
我々は、はいはいってうなずいている。(笑)
筆者:描く時の様子はどうでしたか?
見ていても雲が湧いて、隠れちゃうんです。あっという間に隠れちゃうと描けないわけですよね。
それでもずっと見ていて描き始める感じです。(待っている間に)絵の具が乾いてしまったり、苦労していましたよ。
んでしょうか。ふと思った時に描き始める。
それがやっぱりプロなんですね。私にはよく
わかりませんけど。我々はその後ね、先生と
別れて山の奥の方に入るんです。
幸子さん:十分です。それなんですよ。
エネルギーというかパワーって言うの
かしら。それが上手に作用されないと
絵描きは描けないんです。
雑草が入っちゃうと、草と同じで
ナヨナヨとしおれてしまうので。
一緒に行った人のエネルギーが優しいと
(どんな過酷な状況でも)描けるんです。
先生は全部描いてきましたもんね。
だから皆様には、本当に感謝なの。
◆本記事では内容を抜粋しています。全トークはこちらの動画(YouTube)からご覧ください。
エピローグ:先生が残してくれた素敵な謎
尖っている。
なぜ山の頂上に更なる高みを入れるのか、を
実際にヒマラヤ等、現地に同行して下さった
皆さんがどう思っているか聞いてみたい!」
と思っていたそうです。
ゲストに来てくださった皆様に伺ってみると
「実際に行っていたからこそわかりますが
確かに実物よりかなり鋭角です。」との事。
ではなぜ尖っているのか?
場所を変えてトークは続きました。
「気付いていないエネルギーをもっと出し、
肉体が先を行かせているのでは」などなど
様々な意見が、楽しく飛び交います。
印象に残ったのは、「なぜ実物より尖らせて
いたのかを、先生(故・浅生田光司画伯)に
聞きたい」というひとことでした。
それもひとつの答えで素敵だな、と感動です。
フォトギャラリー&カリスマ評論家のコメント
山を描くというのは、必ずしもピトレスクな美しさではなく、むしろ山肌や雪、雲や空の物質感を出すことだ。その際、必要なのは物質的想像力である。【中略】浅生田さんは、山に憑かれた画家で、年中旅をしている。だから、若々しい。
彼は一昨年から昨年にかけて、五ヵ月、ネパール・ヒマラヤにでかけ、今回発表される絵を描いてきた。青い空を映した雲と、氷河湖を眺めていると、ジェームズ・ヒルトンの「失われた地平線」の理想郷を思いおこす。それぐらい岩肌も峰々も澄明だ。とくに「タンボチェよりエベレストを望む」「エベレストとヌプツェ」は雄大かつ神秘的ではないか。二作品では、画家の想像力の極限と自然の持つリアリティとが、雲をはさんで対峙している。
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坂崎 乙郎(さかざき おつろう、1928年1月1日 - 1985年12月21日)氏 は東京都生まれの西洋美術史研究家、美術評論家。早稲田大学教授。父は美術史家 坂崎坦 氏。圧倒的な知識と感性でコアなファンを多数持つカリスマ。
【編集後記】
1925年 横浜生まれ
元横浜美術協会会長
ミヤマ画廊企画展
現代日本美術選抜展
紀伊国屋画廊企画展
横浜市民ギャラリー個展
銀座松屋 個展2回
横浜開港120周年記念百景展
資生堂ギャラリー個展 三溪園
プレ開園100周年企画展
浅生田光司を称える会(神奈川県民ホール)
画廊楽個展 など
2018年6月 93歳 横浜の自宅で
ご家族に見守られながらご逝去
これからも、画伯夫人サブリナ幸子さんと一緒にお届けする【おうち美術館】連載や活動をご覧いただき、少しでも多く浅生田画伯の作品を目にして頂けると嬉しいです。
最後までご覧いただきありがとうございました。
\動画はこちら/
動画には、記事に入りきらなかったお話や、皆様の笑顔がいっぱい!
画伯夫人サブリナ幸子さんとの公開録画トークショー(対談)にお越しくださった山岳愛好家の皆様、『ミモザの会』ご賛同者の皆さま、本当にありがとうございました!
※いつもは画伯夫人のご自宅でインタビューしますが、今回は横浜の某サロンに集まりました。
◆Swan画廊から選りすぐった作品を、人気高級旅館【箱根 天翠茶寮】さまにギャラリーのように飾って頂いています。(2016年OPEN時から現在まで)
浅生田光司画伯の作品も数多くありますので、ご宿泊の際はぜひゆったりご鑑賞いただければ幸いです。
\ご自宅インタビュー動画はこちら/
●おうち美術館 「ミモザ」
● おうち美術館「柘榴(ザクロ)」
ぜひ絵画と音楽、インタビューとの融合をお愉しみください
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